2020年06月15日

その296 思い出の古いソファー

★36年前の古びた我が家のソファー・・・
その296 思い出の古いソファー
「先生!お父さん行っちゃった!」・・・

 36年前、沖縄市某中学校1年2組担任だった朝の会を終了後K・M女子が私に言った。
父子家庭で毎日腹を空かして学校へ来た。小学校4年生の弟と父親の3名家族であった。日頃から父親は子どもを置きっぱなしで出かけていた。

 前日、「お父さんは出稼ぎで内地に行くって!」と聞いたので、「ダメ!子どもだけ置いて出稼ぎに行くのは絶対ダメ!」と伝えたが・・・
 すぐに家庭訪問し、離婚した母親の手紙を探しだして電話連絡をした。母親は「幸せに過ごしていると思っていた!すぐに迎えに行きます!」との事。

 後日、子ども達を迎えに来たお母さんへ伝えた、「家賃の滞納精算」と近くの小さな商店での「ツケ買い物の精算」を。家賃の滞納精算は済まして本土へ引き揚げたが、しかし、「ツケ」の精算はしていなかった・・・約4万円だった。

 姉弟は日頃父親がいないときに、いつもこのおばあちゃんの小さなお店からツケで食料を買ったという。母親にこのツケの精算をするよう電話すると「それは別れた父親からもらって下さい!」と電話を切られた!・・・なんと不誠実な!迎えに来たときには涙を流し感謝していたが・・・
 私は、このおばあちゃんのお店にお礼を言って精算した。

 その後、今度はアパートの大家さんから「部屋にあるソファーを撤去してほしい!次のお客さんが入れないから!」との連絡があった。そのソファーは2DKの部屋には不相応な高級ソファーだった!私はそれを我が家に持ち帰った。・・・いつかK・Mさんに会えた日にそれに座らしたかった・・・

 だいぶ古くなったソファーは補修のガムテープだらけになった。家族は新しいソファーに換えようヨ!というが「いつか会えるまでダメだ!」と今現在も我が家に鎮座している・・・

 あれから36年!あの子はもう立派な48歳の大人になり子供は何人いるんだろうな~などと思いながらソファーに腰を沈め泡盛をチビリチビリとやっている・・・

 いつか、このブログをアノ子が見てくれる事を願っている!あなたのソファーが待っているよ!・・・
 
 



Posted by ほくろ山下清 at 14:04│Comments(0)
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

QRコード
QRCODE
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 39人
プロフィール
ほくろ山下清